やさぐれ小僧の徒然記

カナダ、トロント在住者の日々のよしなしごと。

TIFF 大日本人

2007/09/14

松本人志監督の『大日本人』を観て来た。観客の3分の一(もっとか?)くらいは日本人だったような気が。トロントでは普段あまり日本人を見ないので「どこに隠れていたんだ?!」ってな感じだ。ラッシュラインもチケットホルダーの列も長蛇になり、席は満席。夜の11時59分からという遅い時間なのに異様な熱気だ。

で、映画の方は、「そこで笑うンか!?」と突っ込みをいれまくりたくなる位、大ウケしていた。「日本人じゃないとわかりにくいのでは?」と思う部分も多々あったのだが、日本人とは全然違う視点故に余計に興味深く観れているのかもしれない。

隣の席の男性は「bi... bizarre...!」と最初の方で固まっていたが最後の方でスタンディングオベーションして拍手しまくっていた。
一緒に行った友人も「すごく面白かった」と大絶賛。
さらに翌日、別の友人と大日本人の話をしていたらその友人の友人は「あの映画(大日本人)で人生が変わった」と言っていたらしい。いや、人生変えんでもええやろ!「そこまでの映画ではないだろ」(←オイコラ)、と突っ込みをいれたいが、強烈なインパクトがあったらしく、かなり熱を帯びたファンが発生した模様。

ちなみにNOWマガジンの評価はNNNN(=excellent)。ベネツィアで酷評されたという話を聞いていたが、少なくともここトロントでは、大ウケしていた。逆に過剰評価ではないかというくらい、映画館は盛り上がっていた。


続き、話のネタばれあり。
全編、松本人志氏が『松本人志氏の信じるところの東京弁』を貫き通していて、言葉尻とかがものすごく不自然なのだが、不自然さが自然(自然でないところがある意味自然というか)になっているのが妙だ。

ドキュメンタリーの手法もうまく、脚本なのかアドリブなのかわからない、演技がヘタなのかうまいのかよくわからない、うまヘタへたウマな出演者多し。

しかし、最後にドキュメンタリータッチも今までの流れもアッサリ崩壊される。普通、「映画は話の筋は?」とか「ポイントは?」とか問われるのだが、この映画は「で、どこに行くねん?」と。投出なのか集束なのか訳がわからないまま放り出し。

小学生の夏休みの宿題が終わらずに日記が最後の方に近付くに連れて手抜きになっていく感じにも似ている。しかしこの映画の場合、今まで日記だと思っていたものが実は電話帳だったとかそういう感じもある。

ただ、この映画、トロントで見た分、付加価値がついている。「ここで笑うか!」「これがクるんか!」みたいな新鮮な驚きがあった。最後のボケ&つっこみも大爆笑の渦。「字幕でそこまで笑えるンか!」とか映画そのものより周囲の反応の方がかなり興味深かった。そして謎でもある。

ちなみに友人(カナダ人、日本語わからず)はSmelly old ladyが「何処から来たんだ?(Where are you from?)」と聞かれて「関西!(Kansai!)」と答えるところが面白かったと言っていた。板尾氏のインパクトは字幕の壁を超えているらしい。
ちなみにこの友人、翌日になって「主人公が折り畳み傘や増えるわかめが好きな理由が今、わかった」と言っていた。12時間経ってわかったんかい!日本人ならすぐわかる比喩表現がカナダ人にはすぐわからず、後でじわじわ来たりもするらしい。

ディティ−ルがリアルなのに大きい部分でリアルでないところとか、妙なバランスも観客(非日本人)を惹き付けた模様。

字幕翻訳は妙にうまい部分とボロクソな部分があって「そんな訳だと意味が違ってしまうだろ!」と突っ込みをいれたくなる部分と、「この台詞をこの字数で納めるかア」、と感心する部分があり、妙にアンバランスだった。

多分、自分1人で観ていたらムカついたと思うが(個人的には映画の正規料金を払ってみるものではないと思う)、TIFFでは、明らかに観客パワーで面白い映画に変身。恐るべし、TIFFマジック。いや、トロントマジックか?

映画の前の挨拶で「別の映画祭でブーイングを受けたので監督は来なかった」と言っていたが、トロントでは映画の後、スタンディングオベーションが起こっていた。「いや、それほどの映画じゃないだろ」、と突っ込みをいれたいが。

酷評の理由もわかるが、熱狂の理由もわかる感じだ。微妙。
  1. 2007/10/16(火) 12:40:08|
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